『ベスト』ってそりゃ確かにベストだけどさ

今のmixiのトップページが「後ろから忍び寄り、罪もなき人をバッサリと斬捨てようとしている女剣士」にしか見えない。おだやかじゃないぜ。

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本とか音楽が好きでしょっちゅう買っているけれども、店に行けば毎回買う、というわけでもない。
行っても特に惹かれるものもなく小一時間うろついた挙句手ぶらで店を出ることだってあるし、逆に何の気なしに入った店でわずか20分の間にオレの両の手は大量の獲物でいっぱい、ということだってある。そんなもんだぜ。だろ?オーライ?

店に行ってみて初めて気になるものが目に飛び込んでくるのだ。これ、なぜだか自然に目に飛び込んでくるんだよね。普段は行かないようなコーナーで唐突にヤツらは現れたりもするね。
この不思議な引力ってなんだろう。きっと、これは、そう、恋?
つまりは、本とかCDとかはオレを「呼んでいる」のだ。呼ばれるか呼ばれないかはそのときのオレのアンテナ状態にも大きく左右されるので、「ここんとこ呼ばれてないなあ」って場合もあれば、「最近毎日呼ばれっぱなしだなあ」って場合もある。なんだかキャバクラの同伴のようだ。


ここ最近は特に呼ばれないことが多く、連日店に通っても誰も声をかけてくれない。誰もオレを呼び止めてくれない。他者との関わりをできるだけ避けようとする東京砂漠はこんなところにまで迫っている。オレ今うまいこと言った。
呼んでもらえないならそれはそれでじっとガマンの子をしていればいいのだけれど、これだけ長期間呼んで貰えないとオレとしても心が折れて「もういいもん!」と部屋の隅っこで体育座りしながらお人形遊びでもしてしまいそうになる。

そんなちょっと荒み気味のハートで向かった本屋。30分ほどかけて店内を見回したけれど、やっぱりオレのハートに呼びかけてくるヤツはいない。
今夜もダメか・・・明日もダメで明後日もダメ・・・まるでダメ夫・・・と思いつつ外に出ようとしたその刹那。久々のこの感覚。明らかにオレに訴えかける強い呼び声。呼んでいる、呼ばれている。オヨヨ、オヨヨと言いつつオレを呼ぶ声のする方へ。

そこにあったのは、
 『小悪魔セックス』 / 穂花 (ベスト新書)
 『稼げる男のセックステクニック』 / 田辺まり子(ベスト新書)
なる2冊の本。
騙された気でいっぱい、股間もいっぱいになりつつも、何も買わずにオレは店の外へ出た。