【南米モン遊記】9日目

昨夜は南米に来てから、一番よく寝られた気がする。
スッキリと覚めて、ヒーターが効いたキッチンでお湯を沸かしてマテ茶を飲む。
気持ちのいい冬の朝だ。


今日は最終日である。夜便で、ブエノスアイレスを発つ。
共有スペースのソファで、漫画を読みながら、どうしようか思案する。
現在の時間は7:30。宿を16:00過ぎに出れば余裕で間に合う。


8時間漫画を読み続けるのは、別に不可能ではないが、
気分が良いせいか、観光に出たい気もしてきた。
せっかくだから。
地図を見ながら観光プランを立てる。


ブエノスアイレスの有名な観光スポットは2つだ。
◎カミニート地区
◎レコレータ墓地
他にも世界3大劇場とか、世界で2番目に美しい書店とか、とか大統領府とかあるけど、たぶん「すげえ!」ってことはないだろう。ヨーロッパを数カ国旅した人なら、写真と説明文を見れば直感的に分かる。
そして、レコレータも「強いて言えば」ってくらいで、ハッキリ言えば、街の目玉はカミニートくらいなのである。
観光以外では、タンゴショーが有名だが、今回はパス。気分じゃない。
もちろん男性ストリップも見なくていい。


即効でプランは決まった。
午前中にレコレータ墓地をみる。徒歩で墓地に向かって歩いていくと、途中に世界3大劇場やら、世界で2番目に美しい書店とか、大統領府とか、その他の見所を押さえられる。
カミニート地区は反対方向なので、午後じっくり見ることにする。
ここは時間をかけてゆっくりみたい。


宿出る時に、昨日知り合った2人の女の子のうち、年上の方が起きてきて朝食を作り始めた。
昼過ぎからスペイン語学校と言ってたので、多分もう会わないだろう。
バイバイして宿を出た。ちなみに、ちょっとだけカワイイ。
けどきっとそれは、異国での旅というシチュエーションのマジック。


レコレータ墓地までは、道に迷うこともなく、途中の観光スポットをサクサクっと見て、進んでいく。
町並みの建築物も、リオほどコロニアルな雰囲気もなく、限りなくヨーロッパだ。でも、だったらヨーロッパで良くない?と思うね。
「南米のパリ」とも言われてるらしいけど、これがパリだったら銀座だって「東洋のパリ」だ。
つまり、町並みを見るためだったら、ブエノスに来る必要はない、ということだ。


目的地のレコレータ墓地は、入り口がやたら見つけにくいという、いらないトリックがきいている。
入り口を見つけるのに30分くらいかかったせいで、15分くらいしか観光できなかった。
レコレータ墓地っていうのは、墓でありながら、1区画くらいの広さで、墓1つ1つの造りが芸術品みたいに凝ってる。維持費がハンパじゃないとか。
アールデコアールヌーボーバロックとネオゴシック様式を一挙に鑑賞する事ができるそうだが、その辺の細かい違いが良く分からない…
あと有名人がたくさん葬られている。特にアルゼンチンの2大カリスマの1人、エヴァ・ペロンの墓を観光客は探す。
オレは入り口探しに手間取ったため、見つけられなかった。
が、それほど残念でもなかった。もともとその程度の興味しかなかった。
ちなみに、もう一人のカリスマはチェ・ゲバラ


午後のカミニートは、ちゃんと見たかった。
行きの飛行機で見た『世界から猫が消えたなら』の映画にも登場したし、写真でパッと見た感じも良かったから。
こっちは昨日知り合った、女子大生も合流することになった。
この子、世界旅しているくせに「観光とか全く興味ないんですよね」
「家でアニメや漫画見ている方がずっと好きです」と言っている通り、ブエノスに1週間いるのに、どこも観光していないらしい。親が泣くぞ。
ありがたいことに、「せっかくだから行きますよ」と重い腰をあげてくれた。
ワタクシなんかと一緒に来ていただき、どうもありがとうございます。


ここは、ブエノスでものすごく危険なボカ地区ってところにあるので、歩いてはいけない。
バスだ。このボカ地区はテベスの出身地だ。テベスっていうのはアルゼンチンのガラ悪い代表みたいなフットボーラーだ。
超危険なボカの中でカミニート地区だけ、治安に力を入れており、安全なのだそうだ。
それだけ、これを目当てに来る観光客が多いってことだ。
ちなみに近くに「ボカ・ジュニアース」のスタジアムがあり、行きたかったけど、リスクが高すぎるため断念した。


カミニートはカラフルな町並みの楽しい場所だ。ボカ出身のナントカって芸術家が、この区画全体をプロデュースしたらしい。説明しても伝わりにくいので後は添付の写真で。
ところでこの女子大生、男性ストリップが楽しみでしょうがないらしい。
「でも、見るだけで本番はできないんですよ〜」と残念がっていた。
「タイではそういうとこあるんで行こうとしたんですけど、言葉が通じなくて・・・
ほら、女子は本番前の空気とか、気分高めるために大事だから」
と童貞にはよく分からないことを、観光しながらペラペラ喋ってくれた。


カミニートを十分堪能して、宿に戻った。
これで旅の旅程は全部終了だ。
それにしてもこの宿はホントに快適だ。広いし、キレイだし、設備は整っているし、冷暖房完備だし。
国内にあったら、たまに行きたいと思うくらいだ。
あとこの宿があるエリアは『モーターサイクルダイアリー』の冒頭シーンの撮影に使われたらしい。
ちょっとだけ名残惜しいが、宿のオーナーに見送られて、空港行きのバス乗り場に向かった。


行きと違って、帰りはとても順調だ。
余裕で空港について、チェックインも順調。飛行機もオンタイムで出発。
空港で軽食を食べたら、アルゼンチンペソの残金は100円程度だったので、両替の必要もなかった。
「またアメリカ経由するのか」と軽い憂鬱を感じながら居心地の悪い席で、ウトウトした。


余談だが、後日女子2人から男性ストリップの感想聞いたら、「最高!!」だったらしい。