大人になってわかる魚とソニックの美味さ

8/16

(ALLiSTER)→Sam Fender→PSYCHEDELIC PORN CRUMPETS→The BirthdaySNOW PATROL

 

3年ぶり4度目の出場、ということで暴風吹き荒れる中、俺は幕張の地に降り立った。すっかりジジイになったもんだから感情の波も凪いでしまって、京葉線のボンクラが遅延しても「ふうん」というもんだし、はしゃぐ沢山のお客で改札からメッセまでの道がわちゃわちゃしてても「あっそ」という具合。ジジイになれば、多少のことでは驚かないし、感情は動かない。

俺は一体何しに来たんだ、とも思わなくもないが、のんびりとプレナでクソをかまし、のっそりとメッセへ向かったのだった。

 

ALLiSTER

よっこらしょう、と入場したら、ちょうどジャカスカボンボン。ほとんど終わりそうだったが「せっかくなので」と人いきれの中に紛れ込む。「まさか20年もメロコアやるとは思わなかった」「だいぶ年とったよ」「(観客を見て)お互い様だね」というあんた本当は日本人だろ、というスコットのペラペラ日本語MCが白眉。いやあもうほんとね、ファンも一緒に年重ねられるって幸せなことよね、とらしくないことを思いながらスピッツのチェリーのカバーを背中で聴きつつ退出。俺、忙しいんだよ!

■Sam Fender

同行者に事前に「これいいんじゃない」と勧められて、「いいような気がするね」ということでソニックステージへ。名前がいいじゃない、フェンダーって。声もでかいしバンドの演奏はうまいし音もはっきりわかるし曲自体もいい意味で(こう言えばなんでも済むわけではない)フツー。"THEフツーに良い曲"をフツーにうまい演奏でグッドナイスに聴けるフツーのよろこびよ。同行者の「ジミー伊藤さんに似てるかも」という指摘も悪くない。この"なんかどっかで前に聴いたことあるような"感が今の俺にはちょうどいい。「ヨッ、フェンダー!」とは叫ばなかった。当たりのアクト。

■休憩

同行者とビール飲みながら休憩。今回はキャッシュレスおじさんで現代のIoTをデジタルトランスフォーメーションしようと、Suica一本勝負したのだが、あの、ほら、あの上の通路というか、なんだ、あのほれアレの上のコンコースみたいなところ。あのちょっと缶ビール安く売ってるところあるでしょ、あすこ。あすこは現金ニコニコ払いのみだったので、同行者に非常に自然な態度で支払って(おごって)いただく。

休憩しながらこの日のタイムテーブルのクソさを非難しつつ、「B'zとは想像上の生き物である」「B'zなんて本当はいないんだよ」という話をする。

■PSYCHEDELIC PORN CRUMPETS

名前イズグッド、と思っていたのでほぼ事前知識なしで拝聴。でけえ声でやけに豪勢なマイクチェックを見終えると、ロン毛5人衆がずんずん登場。暑くないんかしらん、と心配しているとステージから襲い掛かってくる轟音にのけぞる。ソー気持ちよくてグッド。これも当たりのアクト。サイケ、というか轟音×シューゲイザー×HMという感じ。こうやって何かに例えると途端に面白くなくなるからよくないですね。最後まで見届けて小走りでソニックステージへ。俺、忙しいんだよ!

The Birthday

内容云々よりもタイムテーブルよ。ほぼカブりでWEEZERとエンドリケリというか堂本剛というかやはりエンドリケリというか前はエンドリケリエンドリケリて2回繰り返してなかったっけ、という配置。どういうつもりなんだ、ええおい。同行者にウィーのザーは任せ、俺はガンバレニッポンというモード。なんにしろビーチステージ自体が中止なので堂本は観られないし、まあ、あんま言うとあれだけど観に行くつもりもなかったけど、やっぱ気にはなるじゃない。普通に生きててジャニーズのライブなんてなかなか見られないもの。

バーのスデーの内容はよかったんだけど、なんだろ、音が後半からなんというかゴチャッというかメショッというか、ダンゴみたいになって聴こえてきて、もっとそれぞれの楽器の音がはっきり聴こえたらいいのにな、という感じ。でも大いに盛り上がってたし俺も「ワッショイ!ワッショイ!」とタコ踊りを繰り広げたのであった。

SNOW PATROL

ジジイは痴呆が始まっているので、彼らの参加をネットで見たときに本当になぜだかわからないが「わあ、HOT CHIPが来るんだあ!行こう!」とHOT CHIPと思い込むという愚挙を果たす。7月になってから「あれ?」と気づいたが、べつにSNOW PATROLだって好きだ。しかもアコースティックセットとのことで期待も大いに高まる。俺の心の観客は総立ちだ。くどくど書かないけど、すんばらしかった。音がいい。声がでかくて歌がうまい。演奏うまい。進むにつれてどんどんお客が増えていったのもタイムテーブルの都合だけじゃない気がするね。そんな気がするね。本日のベストアクト。

ちなみに合流した同行者は座り込んだまま眠りに落ちていた。死んだのかと思った。

 

これにて俺は帰宅の途についた。B'zを見ないのか、FALL OUT BOYを見ないのか、ロンドンは燃えていないのかと同行者には言われたが、誘いを振り切り電車でグーグー。

酒もほどほど、肉体的・精神的な疲労もほどほど、と4回目にして非常にうまく立ち回ることができたと実感。やはりジジイになったほうが経験と知恵でね、こう、ずるっこくヤれますよ。楽しかった。

どうもThe1975が素晴らしかったらしくて、ちょっと残念な気もするけどなんのなんの。

その後、同行者が独り乗り込んだB'zの動画が15秒だけ送られてきたが、「よく出来たCGだな」と思いましたっての!ジャンジャン!