ジジイはきったねえ海を目指す

初めてコミティア(128)に行ってきた。 

名前だけ知ってはいて興味はあった。浅薄な好奇心で物見遊山的に訪れるとハードコアなソチラ関係の方に冊子のカドでバックンバックン殴られたりするのではないか、という弱気の虫も働いたが、男おいどん気合一発「オラッ」ということで行って参った。 
いったいどんな人たちが、いったいどんな風に楽しんでいるのか。
そこを知りたいし確かめたいし、あわよくば俺も仲間に入りたい。
俺にも見せろやらせろさわらせろ。
むべなるかな、得意の「市場調査に行ってきます」を発動し、いそいそと潜入つかまつった。 

ところで、慣れない、知らない環境に飛び込むときには基本守るべきスタンスがある。
・知ったかぶらない
・意気がらない
・その他いろいろある(白眼をむかないとか奇声をあげないとかなるべくおもらししないとか) 

要は社会とそれなりに接続できてる人間なら当たり前のことだ。
これを守っていれば、けったいな目に遭うことはほぼない。それでも遭ったら仕方が無い。「アーア」つって白眼でもひんむいてればいいだろう。
そんなこんなで既に開場したあと、12時前くらいにチンタラと俺は青海に降り立った。

 

■会場付近はお客さんがたくさん。が、勝手に想像していたよりはおとなしいな、という印象だった。なんかもっとこうワッショイワッショイやってるのかな、と思っていた。カタログ(1,000円)が入場券代わりになるのでいそいそと購入してキョロキョロしてると、入場列はこちらですという案内が。行列の長さに最初は驚いたものの、ちゃんと流れているのでさほどストレスではない。

 

■おとなしく並んで少し他のお客も眺めてみると、そうですな、ざっと全体の40%くらいはコアな感じの方々といった印象。まあ俺ひとりだし周りの人関係ないもんねとカタログを眺めていると「運営どうなってんだ」とか「●&$@%#!!」とか「ウスッウスッ」とか聞こえてきてビクーッ。
どうも一部の方々が独り言を盛大にぶっ放しているようで俺はいちいちビクンビクンせざるを得なかったのであった。

 

■並んで10分もせずに展示場へ。いよいよだな、とワクワクして入場するとモワーンと湿度がまとわりつく。僭越ながら第一印象が「汗臭い!」じゃなくてよかったものの、「シット!ファッキン蒸し暑い!」だからさして差は無い。
立錐の余地なし、はオーバーかもしれないが移動するのも一苦労。
そしてこの湿度がこの人ごみから発生しているのかと思うと、ちょっとアレがナニだ。

 

■パーカーを脱いで、ヌメヌメと人ごみをくぐりぬけながらなんとなく見て周る。
驚いたのは各サークルの出品スペースがイメージよりもずっと狭くて、隣のサークルともはやインティマシーな距離だったこと。精神衛生上大丈夫ですか!と心だけでサイレンを鳴らして、皆様のご健勝をお祈り申し上げた。
(いつもと場所が違ったらしいので、余計にそうだったのかもしれないが私にはわかりかねる)

 

ツイッターやらなんやらを通じてこっちが勝手に認知している方のサークルもちらほらと。遠巻きに眺めて「あれひょっとして作者さんかしらん」と、ご本人が本当に実在していることになんとも不思議な感銘を受ける。
ほんじゃいろいろ買いに行きますかね、と札束(と500円玉)でほっぺでも引っぱたこうとしたところ急に足にブレーキ。
なんて言って買えばいいのか。
なれたお客さんは「ちょっとこれ見ていいすか」などと手に取ってパラパラやって「ふーん」つって戻して「じゃ」と華麗に去ったりしているが、そこまで俺は豪胆ではない。
手に取ったが最後確実に購入することが自分でわかっている以上、訪れるサークルは厳選したい。
あと、おそらく書いた本人に「これください」って言うの、なんだか恥ずかしい俺がいた。他に何か会話した方がいいんだろうか、とひとり煩悶。

 

■何を買ったのかは別にここには書かないが、結果的には「これください」「ありがとうございました(ペコリ)」だけを繰り返すポンコツロボットと俺は化し、すこぶるスマートに購入したのであった。得意の「いつも見てます!」(芸能人に遭遇したときの決め台詞)も無し。
今になって考えれば、むしろこの態度が一番いいような気もする。

 

うちに帰ってみればわりと楽しかったなあというもんでしたが、次回行くときには事前にカタログ見てちゃんと行きたいサークルを選んでおきたいと思う。
あと、あの湿度はきっと参加者の皆さんの創作意欲で生まれたもんじゃないかと感じ、その意欲にあてられて、なんだか知恵熱が出てしまったっての!ジャンジャン!